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この時期になると毎年、幼稚園では発表会という行事があります。
先日、その行事が無事に終わりました。そして毎年、発表会という行事を通して思うのは、なんでこんなに子どもたちの唄や合奏が心に響くのだろうかということです。
子どもの歌を聞いていていますと、まだ幼稚園の子どもですから、お世辞にも音程がきれいにとれてるわけでもなく、きれいに全員がそろっているわけでもないんですが、自分だけでなく、観客みんなが引き込まれてしまうほど、心に響きます。
それはなんでだろうなぁと考えていて、
もしかしたら、それはきっと、子どもたちが、うまく歌おうとか魅せてやろうとか、そんな気持ちがさらさらなくて、自分が楽しんで演じて、楽しんで歌って、歌いたいように声をだして、歌いたいように歌ってるからなのかもしれないと思いました。
そして、そのまっすぐな姿勢や姿に、知らず知らずのうちにそうじゃなくなってる自分のなかにあるギャップが摩擦を生じさせて、それが心の中に波紋みたいに広がるのかもしれません。
これからこの子たちが大きくなっていく中で、いろんな壁にぶつかったりして、そのたびに、自分を守る術を覚えたり、世渡りする技術を身につけていったり、隣の子との差や、他人の中にあって自分の中にないものとか、自分のメリットとデメリットと向き合う中で、こうやって歌が歌えなくなってしまうのかもしれないと思ったら、
これから少しづつ薄れていってしまうであろう、その感覚、そのむき出しの感情をこうやってビリビリと感じられる距離にいられるということは本当にありがたいことだと思いました。
そして、こうやって歌が歌える頃がだれにもあったのかもしれないなぁと思ったら、すくなくとも今のこの時期には、こうやっておもいっきり歌を歌わせてあげられる幼稚園でありたいと思いました。
副住職
遠藤 正樹
副住職
発表会拝読させて頂きました。
ビリビリ感ですか、なるほど。一生懸命な臨場感がストレートに伝わってきます。いいお話ありがとうございました。私も子供の前ではいつしかひん曲がってしまった自分を恥じることがあります。
しかし人を育てると言うことは大事業ですね、頑張ってください。
遠藤 拝
副住職
前住職が、生前に、童心を育むとは、童心に学ぶことであると書いた色紙を残しました。それが幼稚園にあるのですが、最近なんとなくその言葉の意味がわかってきたような気がします。