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非常事態宣言も解除され、少しづつ日常がもどりつつありますが、それでも依然としてコロナウイルスの脅威が去ったわけではなく、
三密・ソーシャルディスタンスなど、afterコロナの生活は、以前のように元通りとはいかないようです。
新しい生活様式にお寺も、幼稚園も、自分自身も対応していかなければならないなと痛感しています。
新しい生活様式の一つとして、マスクをつけての生活ということがあたりまえになりました。いまやマスクを着けていないことがなにか不自然なくらい日常の中にマスクが定着してきました。
幼稚園でも職員は全員マスクを着けて保育を行っていますが、子どもたちと接する中で、このマスクというのはおもいのほか影響が大きいなと感じています。
幼稚園にくる子どもたち、特に年少の子どもたちは、はじめての社会生活がスタートして不安でいっぱいな中、新学期をスタートしています。
その新学期はじめというのは、子どもたちが1日でもはやく安心して毎日を過ごせるよう、幼稚園が自分の居場所として遊びに没頭できるよう、
子どもたちと信頼関係を築き、心の距離を縮めていく時期でもあります。
子どもたちと心の距離を縮めていく時に、このマスクというものはとても厄介なのです。
未就学児の子どもたちの多くは、まだまだ、自分の感情をコントロールすることもままならず、自分の感情や思いを言語化したり、言葉によって相手の感情を理解することはできません。
その子どもたちと、心を通じ距離を縮めていく時に、表情、目の動きなど、顔をつかってとるコミュニケーションというのはとても重要になります。
言葉だけではなく、表情や姿勢で、安心していいんだよということを伝えなければならないのです。
逆に子どもたちの感情や思いを読み取るときにも、目の動きや表情をみることはとても大切なことです。
ですので幼児教育の現場において、お互い顔を隠したままコミュニケーションをとるということはとても難しいことで、大きな課題です。
少し前に「人は見た目が9割」という本が話題になったことがありましたが、大人であっても、人がコミュニケーションをとるときに、
メッセージを発している相手から受け取る印象は視覚からの情報(身だしなみ、しぐさ、表情、態度や目線など)から判断されることがほとんどであるという実験結果があるそうです。
未就学児においては、視覚情報からの割合はもっと大きくなるそうです。
私たちは普段から無意識のうちに視覚情報を頼りにコミュニケーションを成立させたり、意思疎通をしていきているわけで、それがマスクによって多少なりとも影響をうけてしまうこともあるのではないかともいます。
これも新しい生活様式の落とし穴なのかもしれません。
仏教にも和顔愛語という言葉があります。大無量寿経の中にでてくる言葉で、おだやかな笑顔と思いやりのある話し方で人に接することは、
無財(むざい)の七施(ななせ)、財がなくても私たちのできる布施の一つといわれています。
表情や言葉の使い方というものが私たちの生活の中で意識的にも無意識的にも多くの影響を及ぼすものであることに改めて気づかされます。
幼稚園においては、数少ない男性職員の自分からすると、マスクをしたおじさんが立っているのと、マスクをしないおじさんが立っているのでは、
後者のほうが少しは緊張をやわらげるのではないかと感じますが、頑張って残された「目」と「愛語」(思いやりのある話し方)で、
気持ちを伝えていけるよう日々がんばりたいとおもいます。
遠藤 正樹
副住職さま、
「新しい生活様式」拝読させていただきありがとうございました。お元気で幼児教育に日々励まれておられるご様子なによりです。和顔愛語ですか、なるほど。普段から普通にできれば人としてほぼ完成形ではないでしょうか。喜怒哀楽の乱れが顔にでてしまいマスクをありがたがっているようならまだまだと深く自戒します。
遠藤 正樹