寂円寺徒然日記
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年度末に。


まもなく春のお彼岸がやってきます、暑さ寒さも彼岸までということで、この寒さもすこし和らいでくれることを願っています。

さて、幼稚園では今年度ももうすぐ終わろうとしています。4月に入園してきた子どもも1年を過ごしてみんな大きく成長しました。

ここのところ風の強い日が多かったですが、年少さんは、風に吹かれて飛ばされそうになりながらも、険しい顔で一生懸命登園してきて、元気に園庭にでていく姿を見ただけでも、本当にたくましく大きく成長したことを感じます。

年中さんも自分一人で楽しむだけでなく、横のつながりを楽しみ、その中でぶつかり合いながらも、自分の想いを共有していくことがどんどん上手になっています。

そして年長さん、ほかの学年の手本となり見本となり、年長さんの展開する遊びの広がりや工夫のひとつひとつがみんなの憧れの遊びになっています。

何気ない日々の生活の中で、そんな子どもたちの成長の姿を垣間見ることができるたびにとても嬉しい気持ちになります。

先日の朝の園庭での出来事なのですが、園庭の木の周りにある木の杭がゆるんでいるのを年少さんが発見して、近くにいた職員にそれを伝えてくれました、そうしたらその職員が「困ったね、どうしたらいいかな、どうしようかなぁ」と声を掛けていました。

するとその年少さんがしばらく黙って考えたあと、「そうだ!」といって砂場に走り出しました、そして小さな洗剤を入れるような小さなカップに砂を入れて、これで埋めたらいいんじゃない?といって何度も何度も砂場と木の周りを往復して砂を運び始めました、それを見ていた同じクラスのお友達も、みんな各々でスコップや、シャベル、洗剤を入れるカップなどで、砂を運んで木の杭の周りにかけ始めました。そこに、何度も往復しているのをみた年長さんが、大きなお鍋を持ってきて、これならたくさん運べるよといって大きなお鍋に入れて砂を運び始めました。

徐々に人が増えてきて、それを見ていた年中さんが、木の杭の周りに盛られた砂を手でたたいて固め始めたり、水をかけたほうが固まるよといって水を取りに行ったり、気づけばゆるんだ木の杭の周りに子どもたちの輪ができ、みんなでその作業を遊びとして楽しみながら進めていました。あっというまに木の杭もしっかりと埋まって動かなくなり、それをみた子どもたちはみんなとても満足そうな顔をしていました。

学年を超え、それぞれの経験を持ち寄り、そして役割を分担して、一つの目標を共有することができること、これは4月の園庭では決して起きなかった場面の一つだと思います。ここに子どもたちの成長のすべてが詰め込まれているように思います。

最後にお片付けの時間になった時に、道具をそのままにお部屋にかけていってしまう年少さんもいたのですが、それを年長さんがすべて集めて片づけてくれていたことにも感動しました。

何気ない日常の一場面ではありますが、これが、今私たちの目指している保育、子どもたちの姿のひとつです。子どもが主体になった自由保育、こういう場面が毎日園庭のあちこちで繰り広げられている、そんな保育を目指していきたいと思っています。

年長さんたちは卒園まであとわずか、卒園式が終わるともう、新年度に向けての準備も本格的に始まります。目まぐるしく時間が過ぎていきますが最近思うんです。

子どもが子どもと呼ばれる時間はとても短い。子どもの写真はいつでも撮れると思っているうちにあっというまに撮れなくなってしまいます。そのくらいの一瞬で、とても貴重な時間。その時間にいつまでもこうしてかかわっていられることはとても有難いことなのだと感じるようになりました。

副住職

 

 

 

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